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建築物の耐火等吹付け材の石綿含有率の判定方法について
基発第188号
平成8年3月29日
特定化学物質等障害予防規則第38条の10に規定する石綿等の使用箇所及び使用状況に関する調査については、
平成7年2月20日付け基発第76号「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び労働安全衛生規則及び
特定化学物質等障害予防規則の一部を改正する省令の施行について」をもって通達したところであるが、
同通達第3のIIの6の(6)において「石綿の吹付けが行われているものについては、吹付け材が石綿を1パーセントを
超えて含有しているか否かについて設計図書等により調査ができない場合は、定量分析を行う必要があること。」としている
ところである。今般、設計図書等により調査ができない場合の石綿含有率の有効な判定方法について
労働省が委託した調査研究において、別紙のとおり判定方法が確立されたところである。
ついては、貴局に登録されている作業環境測定機関並びに労働安全衛生規則第90条第5号の2に規定する
作業を行う事業者及び関係事業者団体に対して周知を図る等その的確な対応に遺憾なきを期されたい。
なお、関係事業者団体等に対して、別添のとおり、要請したので了知されたい。
(別紙)
建築物の耐火等吹付け材の石綿含有率の判定方法
第1 判定方法の適用
本判定方法は、建築物の耐火等吹付け材に石綿が1パーセント(重量パーセント。以下同じ。)を超えて
含有されているか否かの判定を行う場合について適用するものであること。
第2 試料の採取方法等
1 必要な機器及び用具
(1) 試料採取のための用具
清浄な、チャック付きのプラスチック袋又はふた付き容器(いずれも容量が50ml以上のものに限る。)
(2) 使い捨て手袋
(3) 粉じん飛散防止剤及びそれを噴霧するための噴霧器
(4) 防じんマスク
2 試料採取場所と位置
建築物の耐火等吹付け施工面において、3箇所以上の場所から試料を採取すること。
特に、体育館等1フロアの施工面積が3,000m2以上である建築物の
場合は、約600m2ごとに1試料を採取すること。 また、試料の採取位置については、図1及び図2を参考にすること。
3 試料採取方法
(1) 試料採取量
1箇所における試料の採取量は、9cm3(例:3cm×3cm×1cm)以上とすること。
(2) 試料採取方法
イ 使い捨て手袋を使用して、目的の採取場所から試料を採取し、上記1の(1)に定める試料採
取のための用具に入れる。
ロ あらかじめ設定した複数箇所について試料を採取し、同一試料採取容器に入れた後に、密封する。
ハ 上記ロの密封した容器に、[1]試料番号、[2]採取年月日、[3]採取建築物名、[4]採取場所、
[5]その他特記事項を記録すること。
第3 試料中の石綿の有無の確認方法
1 試料の粉砕
乳ばち(アルミナ製で、直径15cm程度のもの)又はウィレー粉砕機(目開き500μmのもの)を用い、
前記第2で採取した試料をその中に入れ、粉じんが飛散しないよう注意しながら、十分に混合、粉砕する。
2 試料の前処理
(1) 上記1の粉砕試料約100mgを秤量し、容量が200mlのコニカルビーカーに入れ、純水40mlを加える。
次に、メスフラスコ中で20パーセントに希釈したギ酸水溶液を調製し、そのうち20mlをこのコニカルビーカーに添加する。
(2) 超音波洗浄器を用いて粉砕試料を約1分間分散させた後、30℃±1℃に設定した恒温槽に入れ、
30秒かくはん、1分30秒静置する操作を6回繰り返す。
(3) 直径25mm又は47mmのガラスフィルターベースを有する吸引ろ過装置にポアサイズ0.8μmのセルローズエステル
白色メンブランフィルター(当該ガラスフィルターベースに適合する径のもの) を装着し、処理後の溶液を吸引ろ過する。
なお、フィルターは吸引ろ過時にしわにならないよう に十分水分を含ませた後に、
吸引ろ過装置のフィルターホルダー(ガラスフィルターベース)にセットする。
(4) フィルターを取り出し、自然乾燥させること。
(5) 乾燥後、酸処理による溶解残さを次の3の分散染色法による分散色の確認用の試料とする。
3 位相差顕微鏡を使用した分散染色法による分散色の確認
(1) 清拭(しき)したスライドグラス上に分散染色用浸液(とは25℃における浸液の屈折率を表す。)をそれぞれ滴下し、
上記2で調製した試料をピンセットでとり、浸液と十分に混ぜ合わせ、清拭(しき)したカバーグラスをかぶせる。
(2) 位相差顕微鏡を用いて上記(1)で調製された試料の分散色を観察する。なお、この場合、
対物レンズは倍率は10倍以上の分散染色専用のものを使用すること。
クリソタイルはの浸液で赤紫〜青、アモサイトは の浸液で赤紫〜青、
クロシドライトは の浸液で青の、それぞれ最も敏感な分散色を呈する。これらの最も敏感な分散色を示す浸液を選択し、
石綿の種類を同定する。 この場合、観察視野数は、観察試料1個当たり20とする。
なお、分散色は、対象繊維状物質の屈折率と使用する浸液の屈折率の関係によって決定されるため、
浸液の屈折率は使用の都度測定することが望ましいこと。
(3) 上記(2)で石綿の種類に応じた分散色が確認されない場合は、石綿が含有されていないと判断する。
(4) 上記(2)で石綿の種類に応じた分散色が確認された場合は、次の第4により石綿の含有率の判定を行う。
第4 石綿の含有率の判定方法
1 エックス線回折分析用試料の調製
(1) 標準試料(石綿含有率1パーセントのクリソタイル、アモサイト、クロシドライト)の前処理
イ 上記第3で判明した石綿の種類について、標準試料100mgを正確に秤量し、容量が200mlのコ
ニカルビーカーに入れ、純水40mlを加える。次に、メスフラスコ中で20パーセントに希釈した
ギ酸水溶液を調製し、そのうち20mlをこのコニカルビーカーに添加する。
ロ 超音波洗浄器を用いて標準試料を約1分間分散した後、30℃±1℃に設定した恒温槽に入れ、
30秒かくはん、1分30秒静置する操作を6回繰り返す。
ハ 直径25mm又は47mmのガラスフィルターベースを有する吸引ろ過装置にポアサイズ0.8μmのセ ルローズエステル
白色メンブランフィルター(当該ガラスフィルターベースに適合する径のもの)を装着し、処理後の溶液を吸引ろ過する。
なお、フィルターは吸引ろ過時にしわにならな いように十分水分を含ませた後に、
吸引ろ過装置のフィルターホルダー(ガラスフィルターベ ース)にセットする。
また、フィルターサイズは、エックス線回折分析装置の試料台と同一のものを使用することが望ましいこと。
ニ フィルターを取り出し、自然乾燥させる。
ホ 乾燥後、酸処理による溶解残さをエックス線回折分析用標準試料とする。
(2) 採取試料の前処理
イ 上記第3の1の粉砕試料100mgを正確に秤量し、容量が200mlのコニカルビーカーに入れ、純水40mlを加える。
次に、メスフラスコ中で20パーセントに希釈したギ酸水溶液を調製し、その うち20mlをこのコニカルビーカーに添加する。
ロ 上記(1)のロからホに掲げる操作を行い、エックス線回折分析用の試料とする。
2 エックス線回折分析方法による石綿含有率の判定
上記1で調製した試料を同一条件の下でエックス線回折分析を行い、ピーク値の大きさを比較することにより、
1パーセントを超えるか否かを判定する。
第5 試料採取に当たり留意すべき事項
1 吹付け材及び吹付け材施工の方法
試料採取に当たっては、吹付け材及び吹付け材施工の方法として次に示すものがあることに留意す ること。
(1) 吹付け材には、工場で配合したものと現場で配合したものがあるが、いずれも現場で吹付け機械により施工されるので、
吹付け材が不均一になっている可能性が極めて高く、石綿が含有され ている吹付け材でも試料の採取方法によっては、
石綿が含有されていないと判定される場合があ ること。
(2) 大型の建築物においては、施工が2業者以上となる場合があり、この場合、施工業者によって、
吹付け材の種類が異なるときがあること。
2 吹付け材施工部位について
石綿含有吹付け材は、主として耐火被覆、結露防止、断熱又は吸音を目的に使用され、鉄骨構造の建築物、工場、
学校及び体育館等並びに建築物内の機械室等の天井、壁、柱、はり等に施工されている可能性が高いこと。
3 その他試料採取に当たり留意すべき事項
(1) 石綿除去を前提として試料を採取した箇所は、そこから石綿粉じん等が飛散しないように、粉じん飛散防止剤を
散布しておくこと。
(2) 除去作業を行うかどうか不明の場合は、ロックウール等で補修しておくこと。
(3) 試料を採取する場合には、防じんマスクを着用すること。
(4) 天井等から、試料を採取する場合には、墜落・転落防止対策に配慮すること。
(5) 上記第2に掲げる方法により採取した試料について、分析機関に対して、石綿の含有率の判定を委託する場合は、
特に、その密封されている試料を混合した上で分析するよう依頼すること。
(別添)
基発第188号の2
平成8年3月29日
中央労働災害防止協会会長
建設業労働災害防止協会会長
社団法人日本作業環境測定協会会長
社団法人日本石綿協会会長
社団法人日本土木工業協会会長 殿
社団法人全国建設業協会会長
社団法人日本建築業団体連合会会長
社団法人建築業協会会長
全国建設解体業団体連合会会長
労働省労働基準局長
建築物の耐火等吹付け材の石綿含有率の判定方法について
労働基準行政の推進につきましては、平素より御協力を賜り厚く御礼を申し上げます。
さて、耐火建築物又は準耐火建築物で、石綿等が吹き付けられているものにおける石綿等の除去作業を
労働安全衛生法第88条第4項に基づく計画の届出が必要とされる作業とし、さらに石綿による健康障害を防止するための
措置を充実することを内容とする労働安全衛生規則及び特定化学物質等障害予防規則の一部を改正する省令
(平成7年労働省令第3号)は平成7年1月26日に交付され、同年4月1日(一部は6月1日)から施行されているところです。
今般、特定化学物質等障害予防規則第38条の10に規定される「吹付け材が石綿を1パーセントを超えて含有しているか
否かについて設計図書等により調査ができない場合」の有効な判定方法については、労働省が委託した調査研究において、
別紙のとおり判定方法が確立されたところであり、貴団体におかれましては、傘下会員に対し、
別紙判定方法の周知につき格別の御配慮を賜りますようお願い申し上げます。